ai生成ツールの進化により、アーティストの作品が無断でAIの学習データとして使われる問題が発生しています。
こうしたai学習から作品を守るために、ウォーターマークやGlaze(グレイズ)といった対策が登場しました。
この記事は、ai学習対策について具体的に何をすればいいか分からない人に向けたイラストのai対策のまとめとなっています。
今回ご紹介するイラストの基本的なai対策は以下の3種類です。
- ウォーターマーク、透かしを入れる(自身のサイン+無断転載・無断加工・AI学習素材への利用等を禁止する旨を明記する)
- Glazeを利用する
- クリスタで対策する(「ノイズパターン」機能・透かし機能)
それぞれの方法が持つ特徴と効果について解説します。
ウォーターマーク(透かし)
ウォーターマークは、画像の上に半透明なロゴや署名を載せることで無断利用を防ぎます。
この方法は視覚的に作品が「オリジナルであること」を法的に証明する役割も担っています。
法的対策としてのウォーターマーク
ウォーターマークが施された作品を無断で使用し、さらに生成AIで剥がして模倣品を作る行為は、法的には「窃盗」とみなされる可能性があります。
ウォーターマークを剥がして商業目的で使用することは、単なる技術的な問題を超えて、著作権の侵害にあたる行為です。
つまり、他人の知的財産を意図的に改変し、商業的に利用した場合、悪意のある行為として厳しく対処される場合があるのです。
ウォーターマークがあることで作品を「無断で商用利用」するリスクが高くなるため、 ai使用者は慎重になるだろうという考え方です。
物理的なai対策としてのウォーターマーク
また、ai対策としてウォーターマークを一面に入れたイラストを学習させると、aiが出力したイラストにもウォーターマークが入るという検証結果も出ています。
このように物理的なai対策としても、ウォーターマークは有効だと考えられます。
Glaze(グレイズ)によるノイズ付与
Glazeは、作品を守るために独自の「ノイズ」を埋め込む技術です。
このノイズは人間の目にはほとんど見えませんが、AIが作品を学習する際には誤認を誘発し、正確に学習できなくなります。
公式サイト:
https://glaze.cs.uchicago.edu/
AIにとってのノイズ効果
AIはドット単位で学習するため、Glazeのノイズが影響することで、AIは正確なスタイルや特徴を捉えられなくなります。
GlazeはAIが作品のスタイルを学習する際に「歪み」を生じさせることに特化しているため、学習が困難になるという仕組みです。
ノイズ効果を入れたイラストを学習したaiが出力するものにはノイズが反映されたという検証結果もあります。
Glazeのデメリット
Glazeのデメリットは出力に時間がかかることです。
その時のアクセス状況にもよりますが、出力までに数時間かかる場合もあります。
イラストを完成したら即アップしたくて手が震えるくらいなのに、その状態で数時間待つなんて苦行でしかありません。
おそらくai対策としての効果は高いですが、その点が「面倒くさい」と感じる人は少なくないだろうなと思いました。
クリスタでai対策をする
クリスタのイラストai対策は、ノイズ機能・ウォーターマーク(透かし)の2種類があります。
どちらも同じ場所から選択することができます。
- [ファイル] > [画像を統合して書き出し]
- ダイアログができたら、一番下にあるのでスクロール
- どちらかにチェックを入れ、[ウォーターマーク設定]を開く
ウォーターマーク(透かし)
ウォーターマークの入れ方について説明します。
[ファイル]または[フォトライブラリ]を押すと、端末に入っているファイルが表示されます。
あらかじめ、ウォーターマークとして使用したい文字やイラストを「透過した状態」で用意しておきましょう。
試しに昔描いたオリジナルキャラクターの絵に、自画像(ハムスター)の透かしを入れてみます。
だいぶ煩いですね。
タイリングの[繰り返し]の部分と[不透明度]をいじりました。
今度は少し小賢しくなりましたね。
ウォーターマークは以下のような内容を追加することが有効です。
- ai学習を禁止する英文
- 自分のサイン
- SNSのID
ai学習を禁止する英文の例
- “Not authorized for AI training or machine learning.”
- “Do not use for AI model training or learning purposes.”
- “This artwork and all associated identifiers are protected from AI data use.”
また、クリスタのアセットではありがたいことにおしゃれな透かしも配布されています。
こちらもいくつかご紹介します。
かっこいいウォーターマークを入れることで、寧ろ情報量が上がってリッチな仕上がりになりそうですね!
ノイズパターン
次に、ノイズパターンの入れ方をご紹介します。
こちらも先ほどと同様に、[ファイル] > [画像を統合して書き出し] からダイアログを開いてください。
クリスタのノイズパターンは、[強度]を調整することができます。
以下は強度50の状態です。
徐々に強度を下げてみます。
強度20の場合
強度10の場合
ノイズの強度は高い方がよりai学習対策の効果も高まりますが、明確な指標は現時点ではありません。
個人の意見として、イラストを描く身としては、10くらいが許容範囲のように感じますね。