斜め上を向いた顔のイラストは、全体の統一感を意識すれば誰でも自然に描けるようになります。
パーツごとに描くのではなく、顔全体の向きを決めてから、すべてのパーツを同じ角度で描くのがコツです。
この記事では、初心者の方でも分かりやすいように斜め上を向いた顔の描き方を解説していきます。
斜め上を向いた顔のイラストの描き方の基本
斜め上顔イラストの基本は、頭部を箱のようにとらえて、底面を意識することです。
最初の段階で顔の向きと形をしっかり決めておくことが大切です。
斜め上顔を描く基本手順
斜め上を向いた顔を描くときの基本手順を、順番に説明していきます。
ステップ1:丸いアタリに十字線を描く
まず基本となる丸を描きます。その中心に十字線を入れましょう。この十字線が、後で描く目や鼻の位置を決める目安になります。
斜め上向きの場合、この十字線も角度に合わせて調整するのが大切です。正面向きとは違って、縦の線が顔の真ん中を示し、横の線が目の高さを示します。
ステップ2:顔の側面の目安を描く(稜線)
稜線(りょうせん)とは、顔の横側のラインのことです。顔の側面を意識するときは、頭を四角い箱として考えると描きやすくなります。
この線を描くと、顔に厚みと向きがはっきり出ます。斜め上向きでは、この線が顔の奥行きを表現する大切なポイントになります。平べったい顔になってしまう一番の原因は、この線を意識していないことなんです。
ステップ3:側面に耳を描く
先ほど描いた稜線に沿って耳の位置を決めて描きます。耳は顔がどちらを向いているかを示す大切なパーツです。
斜め上向きの場合、耳の見え方も変わります。角度を意識して描きましょう。耳の位置が間違っていると、顔全体のバランスが崩れてしまいます。
ステップ4:耳につなげるように顎を描写する
耳から自然につながるように顎のラインを描きます。ここで大切なのは、顎の線は顔の真ん中の線よりも内側に描くことです。
こうすると、斜め上を向いている立体感がうまく表現できます。顎のラインが適切でないと、どちらを向いているのかが分からなくなってしまいます。
反転して確認をしよう!
描き終わったら、必ず画面を反転してチェックしましょう。顎が出すぎているなど、普通に見ているときには気づかない違和感も、反転すると分かりやすくなります。
このチェック方法は、自然な斜め上向きの顔を描くのに欠かせない作業です。
斜め上顔イラストの基本となるアタリと輪郭の描き方を覚えれば、自然な立体感のある顔が描けるようになります。次に、各パーツを斜め上向きに揃えて描く方法について詳しく説明していきます。
斜め上の角度に統一して顔のパーツを描く
斜め上顔イラストで一番大切なのは、目・鼻・口すべてのパーツを同じ角度で揃えることです。
どれか一つでも正面向きのままだと、全体のバランスが崩れて不自然な仕上がりになってしまいます。
斜め上の目の描き方
斜め上向きの目を自然に描くには、眼球の丸い形を意識するのが大切です。
球体を意識した瞳の配置
目を描くときは、眼球が丸いボールのような形だということを意識しましょう。斜め上を向いている場合、瞳も同じ方向を向くように描きます。
この向きがしっかりしていると、自然な視線が表現できます。瞳の位置が決まったら、その上にまぶたを重ねるように描きます。斜め上向きではまぶたの見え方も変わるので、角度を意識して描くのが大切です。
まつげで方向性を表現する
まつげは顔がどちらを向いているかを示しやすいパーツです。斜め上向きの場合、まつげを上に向かって伸ばすと「上を見ている」ことがはっきり分かります。
この細かな表現が、全体の統一感を高めてくれます。上まつげは斜め上向きのカーブを描き、瞳は下の方に配置するのが自然な表現方法です。
斜め上の鼻の描き方
斜め上を向くと鼻は縮んで見え、短く見えることを覚えておきましょう。正面で見るよりも鼻の長さが短くなって見えるのが特徴です。
絵の雰囲気によっては(特に男性キャラクターなど)鼻の穴をはっきりと描くと、鼻が上を向いていることがよく分かります。リアルすぎず、イラストらしい表現を心がけると、魅力的な斜め上向きの鼻が描けます。
鼻の下の影も見えるようになるため、立体感を出すのにも使えます。
斜め上の口の描き方
頭の骨の構造を考えると、口の部分は前に出っ張って立体になっています。そのため、上を向くと上向きのカーブに、下を向くと下向きのカーブになります。
笑ったときなどに上がるのは「口角(口の端の部分)」です。上向きのカーブにしつつ、口の端を上にあげると、自然で魅力的な表情が描けます。
口角の位置も変化し、正面向きよりも少し下がって見えるのが自然な表現です。顎に引っ張られる効果を意識して描くと、より立体感のある口元になります。
斜め上顔イラストを描くコツ
斜め上顔イラストが上手になる一番の方法は、好きなイラストレーターさんの模写(真似して描くこと)から始めることです。
斜め上を向く角度は、イラストで描くときにデフォルメ表現(イラスト的な嘘の表現)をされていることが多いため、リアルな人体解剖学よりもイラスト作品を参考にする方がおすすめです。
模写で覚える
自分が「この描き方が好き」と思うイラストレーターさんを参考にして練習するのがおすすめです。好きな絵の雰囲気を真似すると、自然とコツが身につき、自分なりの表現方法も見つけやすくなります。
デフォルメの度合いや表現方法は作家によって様々です。
複数のイラストレーターさんの作品を参考にすると混乱しやすいため、特に好きな表現を研究するのがおすすめです。
特に女性キャラクターなどでは、顎の線をあえて描かない表現もあります。その方が柔らかく、可愛らしい印象を与えることができるからです。
斜め上の角度に見せるデフォルメ表現の例
イラストレーターは、斜め上向きの顔を描くときに様々なデフォルメ技術を使っています。これらの技術を理解すると、より魅力的な斜め上顔イラストが描けるようになります。
デフォルメ技術 | 効果 | 使う場面 |
---|---|---|
顎ラインを描かない | 柔らかい印象 | 女性キャラクター |
鼻の穴を強調 | 立体感が出る | 男性キャラクター |
まつげを大きく描く | 方向性がはっきりする | 全キャラクター |
斜め上顔イラストのコツは、模写を通じて様々な表現技法を学び、自分の絵の雰囲気に取り入れることです。
最後に、よくある失敗例とその直し方について詳しく説明していきます。
斜め上の顔を向くイラスト・よくある失敗例
斜め上顔イラストでよくある失敗は、パーツの角度がバラバラになることと、立体感が足りずに平べったく見えることです。
これらの問題を理解し、適切な直し方を実践すれば、自然で魅力的な斜め上向きの顔が描けるようになります。
パーツの角度がバラバラになる失敗
一番多い失敗は、顔のパーツの角度がバラバラになってしまうことです。例えば、目だけ正面向きのまま、鼻と口だけ斜め上向きになってしまうケースがよく見られます。
この問題の根本的な原因は、最初のアタリの段階で全体の角度設定があいまいになっていることです。
直すには、アタリの段階で全体の角度を揃え、各パーツを描くときも常に全体のバランスをチェックするのが大切です。一つのパーツを描いたら、他のパーツとの角度関係を必ず確認する習慣をつけましょう。
立体感が足りずに平べったく見える失敗
平べったくて立体感のない斜め上向きの顔になってしまう失敗もよく見られます。この問題は、顔の立体的な構造を理解せずに描いてしまうのが原因です。
直し方として、まず稜線(顔の横のライン)を意識して顔の側面を表現するのが大切です。鼻の立体感を適切に描き、光と影の関係を意識すると、自然な立体感が生まれます。
特に大切なのは、顎のラインを顔の真ん中の線より内側に描くことです。こうすると、斜め上を向いている立体感がうまく表現できます。
首と体がつながらない失敗
顔は斜め上向きに描けているのに、首や肩は正面向きのままという失敗もよく見られます。この問題を避けるには、顔を描く前に体全体のポーズを決めるのが大切です。
首から肩にかけての筋肉の流れを意識し、耳の後ろから鎖骨への線を必ず描くと、自然につながります。斜め上を向くと首が伸び、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん・首の横にある筋肉)という筋肉が目立つようになるため、この筋肉の流れを意識するのが大切です。
斜め上顔イラストの失敗例を理解し、具体的な直し方を実践すれば、自然で魅力的な表情が描けるようになります。