本記事では、VTuberのファン882名を対象に独自で実施した「VTuberグッズ」に関するアンケート調査の結果を公開します。
VTuberとして活動する中で、アクリルスタンドや缶バッジ、ぬいぐるみなど、どのグッズにファンの需要があるのか、そして利益につながるのかを判断するのは簡単ではありません。
本記事では実際に「買われているVTuberグッズ」と「これから欲しいとされるVTuberグッズ」をデータで明らかにし、数字に基づいた“外さない”グッズ企画の選び方を解説します。
【結論】最初に作るべきVTuberグッズは「アクリルスタンド」と「缶バッジ」
VTuberとして初めてグッズを作るなら、アクリルスタンドと缶バッジがもっともリスクが低く、おすすめです。
理由はシンプルで、アンケート882件の調査でファンの購入経験率が高く、幅広い層に支持されていたからです。
- アクリルスタンド:購入率 80.8%
- 缶バッジ:購入率 60.1%
ぬいぐるみも 60.2% と人気でしたが、制作コストや在庫リスクが大きいため、最初の挑戦には不向きです。まずは扱いやすく外れにくいアクスタと缶バッジから始めるのが安心です。
この2つは「どのファン層にも外れにくい定番アイテム」であり、飾る楽しみや持ち歩く喜びといった、日常の中で推しを感じられる体験を自然に提供できる点が強みです。
【初心者向け】Vtuberのグッズ制作基本の流れ
Vtuberが初めてグッズを作るときは、いきなり印刷会社に入稿するのではなく、アイテム選びから価格設定・発送まで順序立てて進めるのが失敗を避けるコツです。
ここでは、初心者がつまずきやすいポイントをステップごとに整理します。
アイテムの選定と企画
グッズづくりの出発点は「どんなアイテムを作るか」を決めることです。選ぶアイテムによって必要なデザインや画像サイズが変わってくるので、まず方向性を固めるのが大切になります。例えば、缶バッジやアクリルキーホルダーのような小物なら、細かい描き込みの多い全身イラストは潰れてしまいがちです。そのため、顔のアップやSDキャラといったシンプルで見やすいデザインが好まれます。一方で、タペストリーやTシャツのようにサイズが大きいアイテムなら、全身イラストや背景付きの華やかな絵柄が映えます。
デザインの準備と依頼
アイテムが決まったら、次は印刷に使うイラストやロゴを準備します。自分で描く場合は、印刷サービスが指定する解像度(dpi)や塗り足し、トンボの位置などに注意が必要です。絵を自分で用意するのが難しい場合は、イラストレーターに依頼するのも一般的な方法です。最近では SKIMA や Skeb のようなサービスを使えば、気軽に依頼できます。ただし、その際は必ず「グッズ化に利用してよいか」を確認し、著作権や使用許諾の条件を明確にしておきましょう。
制作サービスへの入稿
デザインが整ったら、グッズ制作サービスに入稿します。pixivFACTORYやSUZURIといったサービスを利用すれば、画像をアップロードするだけでプレビューを確認しながら発注できます。pixivFACTORYは70種類以上のアイテムに対応し、10個以上のロット注文なら単価割引が効くのも特徴です。一方、SUZURIはTシャツやマグカップ、スマホケースなど幅広いアイテムに対応し、在庫管理や梱包・発送まで代行してくれます。ただし、SUZURIではアクリルスタンドは作れず、代わりにアクリルブロックが利用できるといった制限もあるので、希望するグッズに合わせてサービスを選びましょう。
販売準備とショップ運営
グッズが形になったら、販売の場を整えます。オンデマンド方式なら、pixivFACTORYとBOOTHを連携させることで、注文が入るたびに工場から自動生産・発送される仕組みをすぐに始められます。SUZURIなら自社プラットフォームでショップを開設し、そのまま注文から配送まで任せることも可能です。もし在庫を自分で抱える方式を選ぶなら、BOOTHやBASEなどで商品ページを作成し、在庫数を設定して出品する流れになります。この場合は、BOOTHの「あんしんBOOTHパック」などを使えば購入者に住所を知られずに発送できるので安心です。
価格と送料の考え方
価格を決めるときは「原価+手数料+送料+自分の利益」を合計した金額を基準にしましょう。例えば原価が500円、サービス手数料が100円、利益を400円取りたい場合、販売価格は1,000円程度が目安になります。VTuberや同人イベントの相場も参考にしつつ、高すぎて買いづらくならないよう配慮するのがポイントです。
梱包・発送とアフターケア
在庫型の場合は、自分で梱包して発送する作業が発生します。割れやすいアクリルグッズならプチプチで包み、厚紙を添えるなどの工夫が必要です。また自宅から発送すると送り主の住所が相手に伝わるため、気になる人は匿名配送サービスを活用すると安心です。BOOTHの匿名配送(あんしんBOOTHパック)やコンビニ経由の匿名発送などが選べます。オンデマンドサービスを利用する場合は、梱包や発送をサービス側が代行しますが、その分製造から発送まで数日〜数週間かかる場合があるため、購入ページで発送目安を案内しておくと親切です。さらに、不良品や配送ミスがあったときの対応方針をあらかじめ用意しておくと、ファンからの信頼にもつながります。
無在庫型 vs 在庫型|販売方法は?
グッズ販売を始めるときに必ず悩むのが「在庫を持つかどうか」です。
結論から言えば、リスクを抑えて手軽に始めたい初心者VTuberには無在庫型、収益率やクオリティにこだわりたい場合は在庫型が向いています。
それぞれの仕組みとメリット・デメリットを整理してみましょう。
無在庫型(受注生産)の特徴
無在庫型は、注文が入ってから1点ずつ生産・発送する方式です。SUZURIでは画像をアップロードするだけでTシャツやマグカップ、スマホケースなど幅広いアイテムを作成でき、在庫や発送はすべて代行されます。
BOOTHもpixivFACTORYと連携すれば「注文があるごとに工場から直送」という仕組みを使えるため、初期費用をかけずにスタートできます。
この方式の利点は、売れ残りのリスクがほぼゼロで、在庫管理や梱包作業の負担もない点です。ただしその分、1個あたりの製造コストや手数料は高めになり、利益率は低くなりがちです。
また、サービスによってはアクリルスタンドのように作れないアイテムもあり、発送まで時間がかかることもあるため、ファンが手に取るまでにラグが生じやすい点には注意が必要です。
在庫型(自前在庫)の特徴
在庫型は、あらかじめ一定数をまとめて工場に発注し、自宅や倉庫に在庫を持つ方式です。
pixivFACTORYで10個以上まとめて発注したり、専門のグッズ制作会社に依頼するのが一般的です。
完成したグッズはBOOTHやBASEなどで販売し、注文が入るたびに自分で梱包・発送します。BOOTHの倉庫サービスを使えば在庫を預けて自動発送も可能です。
この方法の魅力は、ロット生産によって1個あたりの原価を下げられ、利益率を高めやすいこと。そして、自分の裁量で自由に商品仕様を決められるので、ぬいぐるみや特殊加工などオンデマンドでは難しいグッズにも挑戦できます。
また、手元に在庫があれば即日発送やイベントでの直接販売も可能です。一方で、初期費用がかかること、売れ残りリスクを抱えること、在庫管理や発送作業の手間が増えることはデメリットになります。
販売プラットフォームの比較(SUZURI、pixivFACTORY、BOOTH、自サイト)
結論はシンプルです。
- 手間最小でまず始めるならSUZURI
- アイテムの自由度と無在庫連携を両立させるならpixivFACTORY+BOOTH
- 既にpixiv基盤があり在庫/無在庫をハブ運用したいならBOOTH
- 世界観と施策を自分で作り込みたいならBASE/STORESなどの自サイト
が向いています。
違いは「制作機能の有無」「販売・発送をどこまで任せられるか」「手数料と匿名配送」「ブランディング自由度」に集約されます。
SUZURI(“制作+販売+発送”をワンストップで)
SUZURIは画像をアップロードするだけでTシャツ、マグカップ、スマホケースなど多彩なアイテムを1個から販売まで一気通貫で運用できます。
登録料や月額費用は不要で、在庫管理・梱包・発送・購入者対応はSUZURI側が代行します。
販売手数料は個別に課されず、商品の原価にSUZURI側の取り分が含まれる仕組みのため、クリエイターは自分の取り分を上乗せして価格を決めます。
特集や露出の機会もあり、「まずは手間をかけずに始めたい」人には強い味方です。
一方、ショップのデザイン自由度が限定的で、作ることができないアイテム(例:アクリルスタンドは不可・代替にアクリルブロック)がある点は事前確認が必要です。
単価が相対的に高くなりやすく、利益を厚く取りにくいケースもあるため、“楽さ”と“粗利”のバランスを見極めながら価格設計を行いましょう。匿名配送にも対応しており、個人情報の取り扱い面での安心感は高いです。
pixivFACTORY(制作に強い。販売はBOOTH連携で無在庫化)
pixivFACTORYは制作特化のサービスで、缶バッジやアクスタ、アパレル、抱き枕カバーまで70種以上の幅広いアイテムに対応します。
専門知識がなくてもテンプレートに沿って配置すればプレビュー通りに仕上がり、10個以上のロット発注で単価割引も狙えます。
販売機能は持たないため、BOOTHと連携して「BOOTHオンデマンド販売」を使うのが定番です。これにより1点からの無在庫販売が可能になり、注文のたびに工場から自動で生産・直送されます。手数料は販売側(=BOOTH)で発生しますが、SUZURIにないアイテムを作りたい、あるいは将来ロット発注で在庫運用も視野に入れたい人にとって柔軟性の高い選択肢です。
BOOTH(pixiv発の“販売ハブ”。在庫/無在庫/倉庫をまとめられる)
BOOTHはpixiv連携のECプラットフォームで、オンデマンド(pixivFACTORY連携)による無在庫販売と、自前在庫の販売の両方に対応します。
pixiv上の作品から商品ページへ直接導線を作れるため、既にpixivで活動している人との相性は抜群です。さらにBOOTH倉庫を使えば在庫の預け入れと代理発送が可能で、個人の負担を軽減できます。
手数料は販売額の5.6%+決済固定料22円と良心的。匿名配送(あんしんBOOTHパック)にも対応しています。注意点として、BOOTH自体は制作機能を持たないため、オリジナルグッズを売るにはpixivFACTORYなどの制作手段と組み合わせる必要があります。
pixiv基盤×販売運用の柔軟性を両立できるのが魅力です。
自サイト(BASE / STORES など|世界観と施策を自分で設計)
BASEやSTORESを使って自分のショップを構築する方法は、デザインやカテゴリ、キャンペーン運用まで幅広く手を入れられるのが最大の利点です。
グッズに加えてボイスやPDFなどデジタル商品も併売しやすく、STORESは海外発送にも対応しやすいなど、展開の自由度は高めです。
その反面、集客は基本的に自力になるため、SNSや配信での告知、検索流入の整備が欠かせません。
決済手数料はプランによって異なるものの、無料プラン帯では概ね3〜5%程度が目安。
BASEには配送先匿名化オプション(有料)もあり、個人情報の取り扱いに配慮した運用も可能です。
ブランドの世界観を大切にしたい人、独自施策やファンイベントに合わせて柔軟に売り場を設計したい人に向いています。
サービス | 向いている人 | 要注意点 |
---|---|---|
SUZURI | 手間を最小化して今すぐ始めたい初心者 | デザイン自由度やアイテムの制限、粗利を取りにくい局面 |
pixivFACTORY+BOOTH | アイテムの自由度と無在庫販売を両立したい、将来は在庫運用も視野 | 販売はBOOTH側での手数料管理。設定は二サービス連携が前提 |
BOOTH | pixiv基盤があり、在庫/無在庫/倉庫をハブ運用したい | 制作機能なし。グッズは別サービスで作る必要 |
自サイト(BASE/STORES) | 世界観と施策を自分で作り込みたい、デジタル併売・海外販売も視野 | 集客は自力。手数料や匿名化オプションの設計を要検討 |
この比較を踏まえると、まずはSUZURIかpixivFACTORY+BOOTHで無在庫運用を試し、手応えが出たらBOOTH倉庫や自サイトで在庫運用・施策の自由度を拡張していくのが、個人勢VTuberにとって無理のないステップアップです。
Vtuberグッズ制作のコストとロット数・利益率の目安
Vtuberがグッズ販売で一番つまずきやすいのが「お金」の部分です。
原価はアイテムの種類や発注数によって変わり、利益率の相場はおおむね20〜40%程度。最初は小ロットや無在庫サービスでリスクを抑えつつ、価格設定では「原価+手数料+送料+利益」を意識するのが基本です。ここでは代表的なグッズの費用感と、ロット数・利益率の目安を紹介します。
グッズアイテムごとの費用と価格感
アイテムによって原価も売価の相場も大きく変わります。例えば、缶バッジは原価が100円台から作れるため安価に販売できますが、アクリルスタンドやマグカップのようにサイズが大きくなると原価も上がり、その分販売価格も高く設定されるのが一般的です。以下に代表的なアイテムの目安を整理しました。
アイテム | 原価の目安 | 販売価格の目安 | ポイント |
---|---|---|---|
アクリルキーホルダー | 約300〜400円 | 600〜1,000円 | 両面印刷や複雑カットは原価が上昇 |
缶バッジ(57mm) | 約100〜150円 | 200〜400円 | ガチャ形式ならさらに低価格帯で販売可 |
トートバッグ | 約400〜600円 | 800〜1,200円 | 印刷範囲や色数で変動 |
ステッカーセット | 約50〜150円 | 200〜400円 | 複数枚セットでお得感を演出しやすい |
アクリルスタンド | 約500〜800円 | 1,000〜1,500円 | 台座付きや大型はさらに高価でも需要あり |
マグカップ | 約700〜900円 | 1,200〜1,800円 | フルカラーや箱付きで付加価値が出やすい |
最低ロット数をどう考えるか?
発注数が多ければ多いほど1個あたりの単価は下がります。ただし、一般的な印刷所は10〜30個からを最低ロットとし、缶バッジ専門業者では50個以上が条件のケースもあります。
一方、pixivFACTORYやSUZURIなどのオンデマンドサービスは1個からでも注文可能です。無在庫方式ならロット数は事実上ゼロなので、リスクをほぼ負わずに始められます。
個人VTuberが試すなら、まずは小ロットや無在庫で様子を見て、人気が出たデザインだけを追加生産するのが現実的なステップでしょう。
参考記事:
アクリルスタンドを1個から作れるおすすめ印刷所まとめ|最新の料金表
利益率の相場と価格設定の考え方
グッズの利益率は商品ジャンルや販売方法によって変わりますが、一般的に20〜40%前後が目安とされます。
原価の2〜3倍で価格を設定するとバランスが取りやすく、例えば原価300円の缶バッジなら600〜900円程度が妥当です。
そこからさらに手数料や送料、梱包材の費用、自分の作業時間を差し引いて、手元に残る利益を計算しておきましょう。人気や限定性が高い場合は強気の価格設定も可能ですが、ファンに長く手に取ってもらうためには「ちょっとプラスになればOK」くらいの価格感が安心です。
Vtuberのファンが実際に買っているグッズランキング
アンケートで「これまでに購入したことがあるVTuberグッズ」を尋ねたところ、最も多かったのはアクリルスタンド(80.8%)でした。
購入経験率ランキングTOP5
- アクリルスタンド … 80.8%
- ぬいぐるみ … 60.2%
- 缶バッジ … 60.1%
- ステッカー … 49.8%
- アクリルキーホルダー … 47.4%
全体を見渡すと「飾れる」「持ち歩ける」「手に取りやすい」といった要素を持つグッズが上位を占めています。
アクリルスタンドは机に飾るだけでなく、「推し活」としてお出かけの際に持ち歩き、景色や食べ物と一緒に写真を撮る用途でも強い需要があります。
関連記事:アクリルスタンドはなぜ人気?購買データから見る3つの魅力と改善点
ぬいぐるみも同様に、「一緒にお出かけして写真を残す」という楽しみ方が定着しています。
缶バッジやアクリルキーホルダーは持ち歩きやすさが魅力で、特に缶バッジは痛バッグ(通称:痛バ)に大量につけて推しをアピールする活用が一般的です。
つまり、「最初に外さないグッズを作りたいなら、アクスタ・缶バッジが鉄板」ということです。
ぬいぐるみも需要は大きいですが、価格や在庫リスクの面では慎重な検討が必要です。
次は「Vtuberのファンがこれから欲しいと答えたグッズ」を見てみましょう。実は“購入経験が多い=今後も欲しい”とは限らず、意外なアイテムが上位に入っています。
Vtuberのファンが「これから欲しい」グッズランキング
アンケートでは「今後欲しいと思うVTuberグッズ」についても調査しました。最も多く票を集めたのはアクリルスタンド(74.3%)でした。
Vtuberグッズの希望率ランキングTOP5
- アクリルスタンド … 74.3%
- ステッカー … 40.2%
- アクリルキーホルダー … 31.7%
- 缶バッジ … 29.0%
- Tシャツ/アパレル系 … 22.2%
注目すべきはステッカーです。購入経験では5位にとどまりましたが、「これから欲しいグッズ」としては2位に浮上。低価格で手に取りやすく、スマホやPCに貼れる実用性やコレクション性もあり、ファン層の裾野を広げやすいアイテムといえます。
一方で、購入経験率では2位だったぬいぐるみ(60.2%)が「欲しいグッズ」ではTOP5から外れています。
これは人気が落ちたというよりも、一度購入すれば満足度が高く、複数買う必要性が薄いタイプのグッズだからだと考えられます。
自由記述には「大きくて場所を取る」「価格が高く数は買えない」といった声もあり、ぬいぐるみは“熱量の高いファン向けの特別アイテム”としての位置づけが強いことが分かります。
また、Tシャツなどのアパレル系も一定数の支持を集めています。普段使いできるグッズを望む声が増えており、「日常に溶け込む推しグッズ」へのニーズが見えてきました。
この結果から分かるのは、「今よく買われているもの」と「これから欲しいと感じているもの」には違いがあるということです。
アクスタや缶バッジのようにコレクション性の高いグッズは繰り返し求められやすく、ぬいぐるみのように“特別感が強いグッズ”は購入経験率は高くても希望率は低く出る傾向があります。
では、実際に手にしたファンはどんな点に満足し、どんな点に不満を感じているのでしょうか。
次に、アンケートで寄せられた“購入後のリアルな声”を見ていきます。
Vtuberのファンのグッズに対する満足点と不満点
Vtuberのグッズは「買ってもらう」だけでなく、その後に満足してもらえるかどうかが次の購入につながります。
アンケートでは、実際に購入したファンから良かった点と不満点の両方が寄せられました。
ファンが感じたグッズの満足点
- 飾れる楽しさ:「机や棚に並べて毎日眺めている」
- 持ち歩ける喜び:「カバンにつけて外出先でも推しを感じられる」
- コレクション性:「衣装違いや表情違いを集めるのが楽しい」
つまり、「日常生活に推しを取り込めること」が満足の大きな要因です。
実際に自由記述には「勉強や仕事で疲れたときに机にあるアクスタを見ると元気が出る」「缶バッジをポーチにつけて、外出のたびに気分が上がる」といった声が複数寄せられていました。
ファンが感じたグッズの不満点
- 価格が高い:「1つあたりの単価が高くて、全部は買えない」
- 壊れやすい:「アクスタの印刷が剥げた」「缶バッジのピンがすぐ曲がった」
- ブラインド販売への不満:「推しが出ないと無駄に感じてしまう」
特にブラインド形式については「当たり外れがあるから楽しい」という声もあった一方で、「推しが当たらずにダブりばかりで悲しい」「欲しいキャラを自引きできずに転売に頼るしかない」といった不満も多く見られました。
こうしたコメントは複数人で活動するユニットVTuberの場合によく見られますが、1人ユニットであっても絵柄違いをブラインドにすると同様の不満が生じやすい点には注意が必要です。
つまり、ワクワク感を提供する形式であると同時に、買い控えの要因にもなり得るリスクがあるといえます。
こうした「満足点」と「不満点」を押さえておくことで、制作前にデザイン・価格・販売形式を工夫し、失敗を避けやすくなります。
次は、アンケート全体を踏まえて整理できる制作のポイントをまとめます。
ファンの声から見えた、Vtuberグッズ制作のポイント
こちらも結論はシンプルです。まずは小ロットで需要を試し、ブラインド販売は規模に応じて控えめに。定番グッズをベースにしつつ、壊れにくさや価格への配慮、そして“そのVTuberらしさ”を加えることで、ファンに長く愛されるグッズを作りやすくなります。
小ロットから試す
「欲しい気持ちはあるが価格次第で見送る」——アンケートから読み取れるのは、購買意欲と実際の購入にはギャップがあるという現実です。
初グッズは小ロットや無在庫でテストし、実売の反応を見ながら追加生産へ進むのが安全策。価格は手に取りやすさを最優先にしつつ、送料や手数料も含めた“実質負担”で最適点を探ると、無理なく需要が測れます。
ブラインド販売は慎重に
「当たり外れのワクワク」よりも、「推しが出ない不満」や「買い控え」へつながる声が目立ちます。
そのため、ファン層が小さい段階では非推奨です。
実施するなら、ラインナップ数を絞る、交換ルールを明示する、コンプリート入手の動線を用意するなど、不満を抑える仕組みをセットで設計しましょう。楽しさを守りつつ、不公平感と在庫偏りを減らすのが鍵です。
定番+オリジナリティの両立
アクリルスタンドや缶バッジは“買われる定番”ですが、定番だけでは「どこにでもあるグッズ」に落ちがちです。
衣装違い、描き下ろしポーズ、季節・イベント限定など、“推しならではの特別感”を一つ足すだけで価値や満足度は跳ね上がります。
あわせて、台座のはまり具合や印刷の耐久、梱包の保護など壊れやすさへの配慮も重要視しましょう。
グッズは「収益を生むもの」であると同時に、「ファンとつながるための体験作り」でもあります。価格や品質のバランスを意識しながら、自分らしさを反映したアイテムを少しずつ展開していけば、ファンとの距離を縮めつつ長く愛される活動につながるはずです。
このアンケート結果が、グッズを作りたいVtuberさんのお役に立てば幸いです。
今回の調査にご協力いただいた882名のファン・VTuberの皆さま、本当にありがとうございました!